10月3日、雨音で目覚める。バクタプール楽団も今朝は休演のようだ。雨のお陰で静かな朝とはなるが、また雨かとの思い。Windyで気圧配置を見ると、チベットのラサ方面に低気圧が居座り、南からの風を引き寄せる。当然、南からの湿った空気は、ヒマラヤ山脈にぶつかり雨雲をもたらす。この低気圧が1週間先の予報でも消えない。雨期と同じ状態がまだ続きそうだ。トレッキングの出発まで1週間だが、大きく変わらないかもしれない。Rajuから自動車移動の問題は聞いていないので、出発地点まではたどり着けるだろう。ルートは尾根沿いなので、土砂崩れの懸念も少ない。しかし、この天候では展望が期待できないかもしれない。
モーニングティーは、蜂蜜+レモン、すっきりする。そして、炒め野菜とゆで卵、ミルクティーの朝食をLoveloveな夫妻が運んでくれた。その前にO先生が、Shankapur市との研究協定書の案を書いてくれたので、ネパール語に変換、スリエさんにWhatappした。F氏とのミーティングでは、これまでの活動と我々の方針を伝える。スリエさんにも加わってもらい、NPOは調査組織で、実践的な資金を有しないことを確認した。スリエさんは協定案のネパール語を修正すると言って、部屋を出た。
ミーティングが終了し、Nexagのバッテリー交換をしようと準備していると、スリエさんが来て、10時半に副市長と農家を訪問すると伝えてきた。準備を変更して、副市長の住む街中まで行く。しばらくすると、副市長が作業服的な雰囲気で出てこられ、ナマステ、マニスパリティの公用車に乗り込み、街中で副市長の友人女性をピックアップして、Sankhuの街を出た。
バジュラヨギン寺の横を通り、しばらくすると右の砂利道を進んだ。ところどころが石畳みとなっており、熊野古道のようだが、この道もまだ新しい。車体は左右に大きく揺れながら、石畳道と泥道を交互に進む。右座席のO先生は、崖に近いことから恐怖を感じている。運転手に任せるしか無い。数日前の雨で真新しい溝が出来ており、維持補修が追い付かない。最初の農家にたどり着き、家の周りで栽培される多くの作物と、EM菌を使った液肥も見せてもらった。プラスチック容器内には茶色の液体と、牛尿の匂いもしたが、多くの地元素材をいれているらしい。EM菌を詳しくはしらないが、アミノ酸成分が作物に直接吸収されるのでは無いかと感じた。お礼にSBカレー缶をプレゼントすると、とても喜んでくれた。使ってみてからの感想を聞きたかったが、また会うことは無いだろう。2件目の農家に向かう途中、雨に削られた道路で車高の高い4WDの腹が支えてしまった。皆で車を押すが、少し動いてさらにスタックする。車底の土を車載の鉄棒で削るが効果は無い。車輪に小石を噛ませようとするが、ドライバーは拒否する。バイクの往来者が手助けして押してくれる。数人が押すことでようやく、トラップを抜け出すことができた。知らない顔して通り過ぎないのがNepal流なのだろう。
先週、スリエさんのバイクに乗って引き換えした地点の直ぐ近くが2件目の農家だった。イクスクの棚が広がり、対岸にもイクスクの緑の斜面が視える。かつては水田だったのだろう。曇り空から雨が落ちてきて、其の内、豪雨になった。庇のある土間からその様子を眺める。昔ながらの民家は44年前のトレッキング時に泊まった宿を思い出させる。土間の天井にはオブジェのようにとうもろこしがぶら下がる。いつもどおりのように、副市長がとうもろこしから実を外し、友人も倣う。主人が土間のかまどでコーンを炒り、食べさせてくれる。婦人は、発酵した葉野菜の漬物を出してくれた。炒った熱いコーンでお腹がいっぱいになる。肥料や販売先の話をO先生は主に尋ねる。ここでもSBカレーをプレゼントして、ナマステ
3件目の農家は、稜線を進んだ先にあるのだが、途中で斜面上の土砂が崩れて通れそうもない。車を降りて歩いてゆくと、バケットローダーが補修のため動いていた。1区の若い区長も側で見守っている。停車中のマイクロバスを過ぎて、しばらく進むと訪問先についた。グァバを頂きながら、スリエさんの翻訳で話を伺うが、SB缶を車に残したことを思い出し、ノートとペンをO先生に渡し、途中に止めた車まで戻った。もう来ることは無いだろうし、同じ対応をしたかった。農家に戻ると、区長も座って話を聞いていた。主の横に座ると、自家製のヨーグルトを進められた。酸味がありながらまろやかで美味しかった。ここでもO先生は、肥料と販売について聞き取られていた。副市長にはこれから予定があるらしく、最後の訪問農家をあとにした。どろどろになった道路の路肩を通り、バイクはなんとか通行している。峠の集落で副市長を降ろし、スリエさんと通った舗装道路をSankhuまで戻った。途中、何台かのトラックを追い越しながら。車を降りて街中でチャイを頂き、スリエ宅へ戻る。
休むまもなく、昨日、スリエさんに調達してもらったバッテリーを交換するため、スリエさんに同行してもらう。O先生も確認と撮影のため往くという。バッテリーと工具を背負い、いつもの道を観測施設まで進む。今後、バッテリーが消耗した時は、スリエさんに作業してもらうので、手順だけ説明し、すべて彼に作業してもらった。バッテリーを交換し、強制送信モードで起動すると、カメラ画像まで順調に進み、パネルをタッチすると子機からの送信も確認できた。あっさりと作業は終わり、O先生の懸念の一つが解消した。これまでのバッテリーは、新パッテリー充電時の予備として保管することとした。